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【感想】こんな青春小説があっていいのか?──『さよなら世界の終わり』

さよなら世界の終わり (新潮文庫 さ 92-1 nex)

さよなら世界の終わり (新潮文庫 さ 92-1 nex)

"純度100%の青春小説"

これが本書のキャッチコピーです。

著者の過去作『君は月夜に光り輝く( +Fragments)』、『この世界にiをこめて』『アオハル・ポイント』を今までに読んできましたが、今作ほど胸糞悪くなる作品はないでしょう。 本書の9割はそのような胸糞の悪くなる成分で、残りの1割に青春小説のような成分が含まれています。

良くも悪くも期待を裏切るような作品だと言えます。

"純度100%の青春小説"

理想の青春とは対極に位置するような、救いようのない最悪な青春を100%の純度まで高めたのではないか?、そう思わずにはいられませんでした。読み終わってもスッキリせず、モヤモヤした気持ちになります。キツいなぁと思う描写も度々ありました。

読み返したくはない、今のところは

ネタバレに配慮すると、本書では最後まで読むと意図が理解できる表現があります。「あの表現はそういうことだったのかな?」というような。読み返すと納得がいくのかもしれませんが、読み終えた直後の心境としては、この本をもう一度読む気にはなれません。前述の通りしんどいので。 『君は月夜に光り輝く』は何度読んでも良かったのですが……

おわりに

あとがきまで読むと本書が世に出て良かったとは思います。良かったとは思いますが、万人受けはしなさそうです。

どうして人は本を読むんだと思いますか?──『読書嫌いのための図書室案内』

好きな本は特にないのに楽そうだからという理由で図書委員になった高校2年生、荒坂浩二が図書新聞の制作を通して読書に対する考え方や周囲の人を変えていくお話です。

どうして人は本を読むんだと思いますか?

読書嫌いな荒坂とは正反対の活字中毒者である藤生蛍と図書新聞の制作のため行動する中で、荒坂に藤生はこう問いかけます。そしてこう答えるのです。「この世にある物語は、すべて予言の書になり得るからです」

たくさんの本を読むことで、それまで経験したことのない、これから遭遇するかもしれない問題、困難への対処法を得られます。それが「予言の書」の意味するものです。

読書を現実逃避と捉えるかもしれません。しかし、予言の書である本を読むのはむしろ現実へ向き合っていると言えるでしょう。不確実な現実に対処する方法を手に入れようとしているのですから。

おわりに

私自身、読書嫌いではないのですが、「読書嫌い」の単語に興味を惹かれて本書を読みました。 この「読書嫌いのための図書室案内」というタイトルから読書嫌いな人への処方箋のような印象を受けました。しかし、タイトルの「読書嫌い」は主人公である荒坂浩二を指しているのだと読後に感じました。そのため、読書嫌いな方にはこの本はオススメできないかもしれません。 ミステリとしては少し物足りないような気もしましたが、楽しく読み進められました。